大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

盛岡地方裁判所 昭和22年(ワ)71号 判決

原告 佐藤武夫

被告 岩手県知事

一、主  文

被告が昭和二十二年六月二十日附岩手い第五七七九号買収令書をもつて別紙第一目録記載(1)の土地につきなした買収処分及び同年八月三十一日附岩手る第九一号買収令書をもつて第二目録記載(5)(8)(9)の各土地につきなした買収処分はいずれもこれを取り消す。

原告その余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを二分し、その一を被告、その余を原告の各負担とする。

二、事  実

原告訴訟代理人は、被告が昭和二十二年六月二十日附岩手い第五七七九号買収令書をもつて別紙第一目録記載の各土地につきなした買収処分及び同年八月三十一日附岩手る第九一号買収令書をもつて第二目録記載の各土地につきなした買収処分はいずれもこれを取り消す、訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め、その請求の原因として別紙第一、二目録記載の各土地は原告の所有であるところ、昭和二十二年三月八日旧盛岡地区農地委員会は右第一目録記載の各土地につき自作農創設特別措置法(以下単に自創法と略称する)第三条第一項第二号に該当するものとして買収計画を樹立し、その旨公告し書類を縦覧に供したので原告は同年三月十二日異議を申し立てたが却下されたので更に同年四月五日訴願したが棄却となり、次いで被告知事は県農地委員会の所定の承認手続を経て同年六月二十日附買収令書を発行し、右令書は同年七月中原告に交付された。また同年六月十八日前記旧盛岡地区農地委員会は別紙第二目録記載の各土地につき前同法条に該当する農地として買収計画を樹立してその旨公告し書類を縦覧に供し次いで被告知事は前同様所定の承認手続を経て同年八月三十一日附買収令書を発行し、右令書は同年十月二日原告に交付された。

しかしながら別紙第一目録記載(1)及び第二目録記載(5)(9)の三筆の土地は、加賀野耕地整理組合により都市計画法に基く住宅地区画整理と同様の趣旨のもとに施行された区域に属し、またその余の六筆の土地は同市の市街地に近接し、以上九筆の土地はいずれも近くその使用目的を変更して宅地となすのを相当とする農地であり自創法第五条第五号による土地使用目的変更の指定こそ受けていないが買収処分後売渡保留の決定がなされているのであり、また現に右買収処分後第二目録記載(6)(7)の地上に盛岡市立盛岡精神病院が建設され宅地として使用されているのである。よつて右各土地は、本来旧盛岡地区農地委員会において県農地委員会の承認を得て前記法条に則り買収除外の指定をなすべきであつたにかかわらず、その指定をなすことなく、漫然前記各買収計画を樹立したのは違法であり、従つてこれに基いて被告知事のなした前記各買収処分もまた違法であり取り消さるべきである。よつてこれが取消を求めるため本訴請求に及ぶと述べた(立証省略)。

被告訴訟代理人は、原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として、原告主張事実中原告主張の各土地が原告の所有であり、いずれも旧盛岡地区農地委員会の区域内に存在すること、原告主張日時旧盛岡地区農地委員会が原告主張の各土地につき自創法第三条第一項第二号に該当するものとしてそれぞれ買収計画を樹立してその旨公告し書類を縦覧に供したこと、原告がその主張日時別紙第一目録記載の各土地につき樹立した買収計画に対し異議を申し立て次いで訴願したがそれぞれ却下、棄却されたこと、被告知事が県農地委員会の所定の承認手続を経て原告主張の各日附の各買収令書を発行し、右各令書が原告主張の各日時原告に交付されたこと、買収処分後原告主張の土地の上に盛岡精神病院が建築されていることはいずれもこれを認めるが、本件各土地が近く土地使用目的を変更するのが相当であること及びこれを理由として売渡保留決定がなされていることの点は否認する。自創法第五条第五号にいう近く土地使用の目的を変更するのを相当とする農地とは、単に将来宅地等農地以外の土地として使用されることが予想されるというのみでは足りないのであつて、当該農地を宅地等に使用目的を変更しなければならない現実の必要があり、且つその使用目的変更が相当であると観得られる明白な客観的事実の存することを要するところ、原告主張の前記各土地はいずれもそのような現実の必要ないしは客観的状況にあるものとはなし難いから前記法条の買収除外の指定をなすべき場合に該当しないのである。しからば旧盛岡地区農地委員会において右各土地につき買収計画を樹立し且つ買収除外の指定をなさなかつたのは固より適法であり、従つてこれに基き被告知事のなした本件各買収処分は適法であつて何等原告主張のような違法はない。なおまた自創法第五条第五号にいわゆる買収除外の指定が仮りに法規裁量に属するとしても、右買収除外の指定申請を拒否した処分それ自体を取消訴訟の対象となすは格別、これをもつて買収処分の違法理由となすことは許されない。以上いずれの点よりするも原告の本訴請求は失当であると述べた(立証省略)。

三、理  由

別紙第一、二目録記載の各土地がいずれも原告の所有で旧盛岡地区農地委員会の区域内に存在すること、旧盛岡地区農地委員会が昭和二十二年三月八日第一目録記載の各土地につき自創法第三条第一項第二号に該当する農地として買収計画を樹立してその旨公告し書類を縦覧に供したに対し原告が異議を申し立て却下されるや更に訴願したが棄却となり、次いで被告知事が所定の承認手続を経て同年六月二十日附買収令書を発行し、右令書が同年七月中原告に交付されたこと、同年六月十八日右同委員会が第二目録記載の各土地につき前同法条に則り買収計画を樹立してその旨公告し書類を縦覧に供し、次いで被告知事が所定の承認手続を経て同年八月三十一日附買収令書を発行し、右令書が同年十月二日原告に交付されたこと、右第二目録記載(6)(7)の土地の上に本件買収処分後建築にかかる盛岡市立盛岡精神病院が建在すること、以上の事実はいずれも当事者間に争がない。

成立に争のない甲第四号証、第十三ないし第二十五号証、第二十七、二十八、二十九号証及び証人村井彌兵衛、高橋末吉の各証言を綜合すれば、訴外村井彌兵衛等が発起人となり別紙第一目録記載(1)及び第二目録記載(5)(9)の三筆の土地を含めた同市大字加賀野、大字新庄及び岩手郡浅岸村大字新庄(その後盛岡市に編入)地区約三十町の農地につき耕地整理施行のため昭和四年二月十六日岩手県知事に対し耕地整理組合の設立認可を申請し同年八月三十一日同知事の認可があつたので加賀野耕地整理組合として発足したこと、右組合の名称はこれを耕地整理組合としたけれども、その事業内容は、前示地区内の土地の交換、分合、地目変換、区画形質の変更、道路、畦畔、溝渠の廃止変更及び排水に関する設備並びに工事を実施するにあり、その真の目的とするところは市街地区画整理により当時同市において不足していた住宅地の造成にあつたこと、右工事費用は等級に応じて受益者負担とし、昭和五年春頃工事に着工し、幅員狭隘にして相互の連絡不統一のため利用上多大の不便のあつた従来の道路を変更廃止して新たに縦横に通ずる幅員四間又は二間半の道路を設け、その両側には、幹線において幅員四尺、支線において一尺五寸、深さ各一尺の鉄筋コンクリート製の側溝を附置し、将来街路となつた場合の排水の便を図つたこと、その頃右工事施行にかかる全地域は同市の水道給水区域に編入され、前示新設道路全般に亘り配水鉄管が敷設されたこと、なお同市は昭和三年都市計画法の適用を受け、昭和十三年建設省告示により前示耕地整理施行地を含む加賀野地区一帯に街路網及び建築線が設定され、更に昭和二十六年十月建築基準法により同市の住居地域に指定されたことをそれぞれ認めることができる。

しかして成立に争のない甲第三号証の一ないし六、第二十六号証の一ないし四及び前顕甲第二十九号証によれば、前記加賀野耕地整理組合が昭和十一年一月八日岩手県知事に対し前示耕地整理施行地区内の土地の交換処分の認可を申請し同年三月三十日その旨の認可を得、次いでその頃盛岡税務署長に対し旧耕地整理法第十三条の三第三項に基き賃貸価格の配賦及び仮賃貸価格の決定方を申請しその旨同署長の決定のあつたこと、昭和十六年二月十八日訴外加賀野土地株式会社が前示加賀野地区耕地整理施行地域内に所有する土地につき昭和十五年十一月二十一日勅令第七百八十一号宅地建物等価格統制令第五条第一項に基き岩手県知事に対し土地分譲価格に関する認可を申請したところ、同年三月十四日同知事の認可を得たので爾来現況農地であるにかかわらず、昭和十六年二月一日勅令第百十四号臨時農地等管理令の適用除外例として宅地としての価格をもつて譲渡処分することが認められ来つたものであることをそれぞれ認めることができる。

次に成立に争のない甲第五、第十、第十一号証、第十二号証の一、二によれば、原告は右耕地整理施行地域内に農地を所有する前記村井彌兵衛等と共に昭和二十二年四月二十六日旧盛岡地区農地委員会に対し、別紙第一目録記載(1)及び第二目録記載(5)(9)の各土地を含む前示加賀野耕地整理組合のなした耕地整理施行地域に属する農地は、右工事施行の目的及び現況に鑑み近き将来において土地使用の目的を変更することを相当とする農地であるから自創法第五条第五号に則り買収除外の指定をなされたき旨申請したこと、岩手県知事は右申請に基き岩手県都市計画地区指定委員会に諮問したところ、同委員会は都市計画上必要ありとして原告等の右申請を相当と認め、昭和二十三年九月二十二日その旨同知事に答申したこと、同知事は同年十二月十日附をもつて右加賀野耕地整理組合のなした耕地整理施行地区の一部(前記(1)(5)(9)の本件三筆の土地を含む)にして既に買収済の農地のうち昭和二十二年十一月二十六日現在において売渡処分完了前の農地につき自創法施行規則第七条の二の三に則り売渡保留の決定をなしたこと、以上の事実を認めることができる。

なお検証(第一回)及び鑑定人沢村三助の鑑定の各結果によれば、前記(1)(5)(9)の本件三筆の土地は、盛岡市の市街地の中心部の東方、徒歩で約二十分の近距離に位置し、その西南方は同市の繁華街に連らなり、完備した側溝を伴う整然と区画され、縦横に四通する幅員四間又は二間半の道路に囲繞された前示耕地整理施行にかかる地域の西南部に属していること、右耕地整理施行にかかる地域中相当部分は既に宅地に造成され、附近には盛岡第二高等学校、県立附属小学校、加賀野中学校及び岩手保養院等の公共施設が建在する外、右整備された道路に沿つて多数の住宅が略規則的に並立し、残存耕地も漸次宅地化されつつあり現に諸所に新築家屋が建築中であつて本件各土地を含めた附近一帯の現況は正しく住宅街の様相を呈しつつあること、従つて本件(1)(5)(9)の各土地はその所在位置、交通関係その他周辺の状況から観て近き将来において宅地化されて行くものと認められる。

以上認定に反する原告の取下前の共同被告旧盛岡地区農地委員会代表者北太郎の供述部分は前記各証拠に照らし措信し難く、他に右認定を覆すに足る証拠はない。

次に別紙第一目録記載(2)(3)(4)及び第二目録記載(6)(7)(8)の同市大字上田地区に所在する本件六筆の土地につき按ずるに、成立に争のない甲第四、第二十七号証、証人高八卦勇の証言及び検証(第二、三回)並びに鑑定人小林正行の鑑定の各結果を綜合すれば、本件六筆の土地の所在する盛岡市大字上田地区は前示加賀野地区と同様昭和三年同市に施行された都市計画法に基く計画区域に属し数本の計画路線が設定されていること、右第二目録記載(8)の土地は、同市の中心部より徒歩にて約四十分、同市を縦断して北方に通ずる旧陸羽街道に沿つて形造られている市街地の北端、すなわちこれより更に北上すれば漸く家並が杜絶え最早街衢の様相を失うあたりの、右街道の西方約百米、逐次上昇する丘陵の略頂点に位置する現況畑であるが、その東方約五十米ないし百米の範囲に右街道を挾んで規則正しく新旧取りまぜて三十数個の市営住宅が建在する外その附近には数軒の商店もあつてこれより右街道を南下するにつれて人家漸く稠密となり同市の繁華街に接続すること、なお右市営住宅の所在する右街道条の箇所は同市の給水区域に編入せられ配水鉄管が敷設されていて交通と並んで水利の便も比較的良好であること、なおまた本件土地の東方約百米の箇所に同市の風致地区であり、春の観桜夏の舟遊に賑う高松の池があり、これに通ずる道路の入口附近に本件土地が位置している等交通その他の地理的条件からしても右土地は近い将来において宅地化される蓋然性が多いものと認められる。右認定に反する前顕北太郎の供述部分は前記各証拠に照らし措信し難く、その他右認定を覆すに足る証拠はない。

果してそうだとすると、別紙第一目録記載の(1)及び第二目録記載(5)(8)(9)の四筆の土地はいずれも自創法第五条第五号の「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当するものといわなければならないところ、右法条にいう市町村農地委員会又は都道府県農地委員会の買収除外の指定はいわゆる法規裁量に属するから、旧盛岡地区農地委員会において前記法条に則り前記各土地につき買収除外の指定をなすべきであつたにかかわらずその裁量を誤り右指定をなさないで前記買収計画を樹立したのは違法であり、従つてこれに基いてなした被告知事の本件買収処分もまた違法たるを免れず且つ右の違法は取り消し得べき瑕疵に該当するものといわなければならない。

この点につき被告は、旧盛岡地区農地委員会のなした買収除外の指定拒否の処分そのものを取消の対象となすは格別、右指定をなさないことをもつて買収処分の違法理由となすことは許されない旨抗争するけれども、前段説明のとおり自創法第五条第五号の買収除外の指定は法規裁量に属し、右指定をなすべき相当の理由があれば必ずこれをなさなければならない義務があるのであり、従つて右相当の理由があるにかかわらず右指定をなすことなく買収計画を樹立し、これに基いて買収手続を遂行することそれ自体が違法であるといわなければならないから、右買収除外の指定をしないという不作為そのものが買収手続に内在する瑕疵であり、従つてこれを買収処分の違法理由として争い得ること勿論である。この点に関する被告の主張は採用に値しない。

次にその余の本件各土地につき按ずるに、前顕甲第四、第二十七号証、前記検証(第二、三回)及び鑑定人小林正行の鑑定の各結果によれば、別紙第一目録記載(2)(3)(4)の各土地は前記第二目録記載(8)の土地より前記旧陸羽街道を更に約千米北上し、右街道の東側約五十米の地点に位置する一団地をなす現況畑地であり、これより約七、八十米南下すれば右街道の西側に北辰電機盛岡研究所、これに続いて岩手大学学芸学部、右街道を隔てて東北配電株式会社職員宿舎がそれぞれ建在し、更にこれより南下するにつれて右街道沿に若干の家屋が存在するけれども、ここ数年内において新たに建築されたと思われる家屋は見当らず、また本件土地の東方約五百米の地点に柵を繞らした黄金競馬場があり、また北方約五百米のところに修道院が存するのみで、東、北、西三方面とも附近一帯は広漠たる畑又は果樹園であり、その間遠く点在する若干の農家を除いては殆ど家屋の存在しないこと、なお盛岡市の給水施設の北方における終点は前記岩手大学学芸学部附近であり、また前記旧陸羽街道のうち舗装してあるのは右同地点までであること及び最近の盛岡市の北方への住宅地発展の進路は旧陸羽街道条より北上川西岸の新陸羽街道条に移つていることを認めることができる。

以上認定の事実によれば右三筆の土地は旧陸羽街道に沿う交通上比較的便利の地点に位置しているものといい得るが、同市の市街地から遠隔の地にあるという地理的条件その他附近の土地使用の状況一般から観て、いわゆる近い将来において土地の使用目的を変更して宅地とされる蓋然性ないしは相当性があるものとは到底認め難い。

次に別紙第二目録記載(6)(7)の各土地につき按ずるに、前記甲第二十七号証及び検証(第二、三回)並びに鑑定人小林正行の鑑定の各結果によれば、右二筆の土地は前記旧陸羽街道から分岐して岩手大学学芸学部の北側を西に通ずる道路を約六百米西進し、蛇の島道路と通称する厨川駅方面に至る道路との交叉点に位置し、その附近一帯は畑又は果樹園で僅か数戸の農家が散在するのみで交通の点からすれば前記第一目録記載(2)(3)(4)の各土地の場合に比し更に条件が悪く、その他周辺の状況は右各土地の場合におけると同様であり、近き将来において同市の市街地の延長若しくは住宅地帯となるべき蓋然性を窺わしめるに足る何等の客観的徴候の認むべきものがない。

もつとも本件買収処分後前記(6)(7)の二筆の土地に跨つて盛岡市立盛岡精神病院(木造木羽葺外部モルタール塗建物一棟この建坪約二百三十坪)が建設せられ、右各土地は現に右建物の敷地として使用されていることは当事者間に争のないところであるが、右各土地につき買収計画の樹立された昭和二十二年六月十八日当時はもとよりのこと買収処分のなされた同年十月二日当時、買収機関である旧盛岡地区農地委員会若しくは被告知事において、右各土地の上に前記建物が建設されることを知り、又は知り得べかりし何等かの具体的事実が存在していたのなら格別、この点につき何等原告の主張及び立証のない本件においては、他に特段の事由のない限り当時そのような事実が存在しなかつたものと観るの外はなく、従つて前示認定のとおり前記各土地の客観的状況一般からして近く土地の使用目的を変更して宅地等となすのが相当であることを窺わしむるに足る何等の徴候も存しなかつた以上、旧盛岡地区農地委員会若しくは被告知事において右各土地につき買収計画を樹立し又は買収処分をなすに当り、近く宅地とされるであろうことを予測するに由なかつたわけであり、従つて当時の現況どおり今後も農地として使用されるものとの前提の下に買収計画を樹立し又はこれに基いて買収処分を遂行したのは固より当然といわなければならない。しかして前記(6)(7)の各土地が仮令現実において既に農地としての使用目的が変更され宅地となつており、且つ宅地に変更されたのが原告の関知しないことであり原告にとつていわゆる自然の変更であるとしても、それは、本件買収令書の交付による買収処分以前のことなら格別、処分完了後に生じた新たな事態であるから、右各土地に関する本件買収計画又は買収処分の適否の判断につき何等の影響がないものといわなければならない。何故なれば、本件買収処分の完了後は本件買収令書所定の買収の時期に買収物件の所有権が原告から政府に移転するのであり、原告において買収物件に関する所有権の喪失後の事由を援用してその買収に関する行政処分の違法を主張し得べきいわれがないからである。

その他原告提出援用にかかる全立証をもつてしても右各認定を覆し、前記(2)(3)(4)(6)(7)の本件各土地が近い将来において使用目的を変更し農地以外の土地として使用するのを相当とするものと認めることはできない。

果して然らば旧盛岡地区農地委員会が別紙第一目録記載(2)(3)(4)及び第二目録記載(6)(7)の本件五筆の土地につき前示各買収計画を樹立し且つその後自創法第五条第五号の買収除外の指定をなさなかつたのは固より相当であり、従つてこれを踏襲してなした被告知事の右各土地に対する本件買収処分もまた適法であつて何等原告主張の違法がないものといわなければならない。

よつて原告の本訴請求中別紙第一目録記載(1)及び第二目録記載(5)(8)(9)の各土地につきなした買収処分の取消を求める限度においては正当としてこれを認容し、その余の各土地に対する請求は失当として棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、第九十二条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 村上武 上野正秋 佐藤幸太郎)

(目録省略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!